フォークリフト事故の罰則とは?業務上過失・法人処罰
フォークリフト事故は、運転手が加害者となり、作業者(作業員)が被害者となるのが主なケースです。しかし、中にはフォークリフトの現場とは関係のない一般の歩行者が被害者となってしまう事故も見られます。
本記事では、フォークリフト事故の罰則事例や、事故に紐づく過失致死傷の概要を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
2021年のフォークリフト事故
今回取り上げるのは、2021年に起きたフォークリフト事故です。今回の事故の概要は、大阪府泉佐野市でフォークリフトが走行しており、歩行者をはねてしまい死亡した事故になります。フォークリフトの運転手は現行犯逮捕されました。
過失致死傷の根拠法とは
先ほどご紹介したフォークリフト事故の会社は、30年以上前から警察の許可を得ず、積荷を積んだまま工場と現場を行き来していたとのことです。
フォークリフトの運転手である被告と、同社社長(58)を含む幹部3人と法人として同社が書類送検されました。
自動車運転処罰法
フォークリフトに関連する法律の1つに、自動車運転処罰法というものが存在します。
刑法211条によると、
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は5年以下の懲役若しくは禁錮または100万円以下の罰金に処する
とされています。いわゆる「業務上過失致死傷罪」に該当します。
従来では、自動車運転による事故は「業務上過失致死傷罪」によって処罰されていたという特徴があります。
その上で、平成19年の法改正の際に、悪質な事例を特に重く処罰する趣旨で「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転処罰法)が制定されました。
これらを踏まえて、自動車運転処罰法による過失運転致死傷罪では、7年以下の懲役、もしくは禁錮または100万円以下の罰金となります。
業務上過失致死傷罪の要件
理解しておかなければならないのは、業務上過失致傷罪の要件です。成立するための要件としては下記の2つが必要です。
- 業務上必要な注意を怠ったこと
- それにより人を死傷させたこと
ここで言う「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復・継続しておこなう行為のことになります。前提として、1回の行為であっても継続する意思があれば業務に該当します。
次に、注意を怠るとは「結果予見義務および結果回避義務に違反すること」です。
法人処罰とは
上述した「それにより人を死傷させたこと」は、業務上過失致傷罪の要件の1つです。
しかし、業務上過失致傷罪では「人を死傷させた者(人)」が規定されており、法人は自然人ではないことから含まれてないとされています。
つまり、今回取り上げた事例においては、加害者である従業員は当然ながら対象となり、保守安全管理上の義務違反がある場合は企業の役員なども起訴されるということです。
一方で、身体刑は「懲役」や「禁錮」が中心であるため、今回のケースにおいては法人は起訴されないと言われています。整理すると、法人ではなく、関わった従業員や役員などが刑法の対象になるということです。
万が一無免許で事故を起こした場合
ここまで取り上げた事例とは別に、万が一無免許で事故を起こしてしまった場合はどうなるのでしょうか。結論として、無免許運転の違反者には「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます。
当然ながら、発覚した場合は属する事業所も処罰の対象になるため、個人のみならず、会社全体に大きな損害を与えることは必然です。
無免許で運転をしない(させない)のは前提として、現場での徹底した安全教育が必要となります。
フォークリフト事故を防ぐための対策
今回取り上げた事例は、掲載の許可を得ずに工場と事故現場を行き来していたものになります。積荷を運ぶための導線を整備するのは当然として、もしフォークリフトや運転手が歩行者に気付いていたら今回の事故は起きていなかったのかもしれません。
そのための対策として、たとえば株式会社TCIではフォークリフト用の専用カメラをご用意しております。2種類のカメラがあり、AIを搭載した全方位カメラと、ワイヤレスカメラで爪先などを確認するカメラです。
凄惨な事故を防ぐためには、人の力や注意に依存しないテクノロジーの力を活用しましょう。製品概要資料を無料でダウンロードいただくことができますので、ぜひこの機会に当社の製品をお役立てください。