フォークリフトのパレット事故事例【原因と対策をご紹介します】

フォークリフトの事故は年間2,000件程度発生していますが、爪に関連する事故のみならず、パレットが関連する事故も多く見られます。

本記事では、フォークリフトのパレット事故事例を2つご紹介するとともに、発生した原因や考えられる対策を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

フォークリフトのパレット事故事例

はじめに、フォークリフトのパレットに関連する2つの事故をご紹介します。

  • パレット上で作業中に死亡した事故事例
  • 上部のパレットが崩壊した事故事例

それぞれ順番に見ていきましょう。

パレット上で作業中に死亡した事故事例

業種 その他の建設業
事業規模 1人〜4人
機械設備 フォークリフト
災害種類 墜落/添削
被害者数 1人(死亡)
発生要因(物) 安全不確認
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

 

1つ目は、パレット上で作業をしており、墜落し死亡した事故事例です。

厚生労働省が出している「職場のあんぜんサイト」を参考にすると、当時の発生状況は下記になります。

この災害は、コンクリート製品製造工場建屋の入口にひさしを取り付ける工事の準備作業中に発生したものである。

災害発生当日の朝、Y社からひさしの取付け工事を請け負ったZ社の作業責任者Aは、作業者BおよびCとともに材料を持ってY社の工場に到着した。

しかし、建屋入口の上部(高さ5m)には鳩よけ用のネットが張ってあり、作業を行うためには、それを取り外す必要があった。

そこで、Aは、自分がフォークリフトの運転資格を持っていたので、工場のフォークリフトを借りて足場として利用することを考え、借りてきたフォークリフトのフォークを5段積みしたパレットに差し込み、そのパレット上にBを乗せて、鳩よけ用のネットの取り外しができる高さ(地上から約4.5m)にまで上昇させた後、フォークリフトのエンジンを止め、Bに作業させた。

その後、AとCは、ひさしの取り付け方法を打ち合わせていたが、「アッ」という声がしたので振り返ってみたところ、Bがフォークリフトの近く地面に倒れていた。Bは救急車で病院に搬送されたが死亡した。

Z社では、ひさしの取付け工事を請け負った際、高所作業があることが明らかであるにもかかわらずY社と作業床の設置について相談する等必要な機材や作業方法についての検討を十分に行わずに、作業責任者と作業者を現場に派遣していた。

また、BはZ社に2カ月前に採用されたが、Z社はBに対し墜落防止対策等に関する安全衛生教育を実施していなかった。

こちらの死亡事故が発生した原因として考えられるのは、作業計画を作成せずに作業を開始したことが挙げられます。作業をすべて作業者任せで行っており、必要な機材や設備を考慮せずに作業を開始したことが原因です。

併せて、企業は安全衛生教育を実施せずに作業を開始してしまったため、企業側の管理・教育不足であることも大きな原因として考えられます。

上部のパレットが崩壊した事故事例

業種 特定貨物自動車運送業
事業規模 16人〜29人
機械設備 フォークリフト
災害種類 崩壊/倒壊
被害者数 1人(死亡)
発生要因(物) 物の置き場所の不適切
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 荷等の積み過ぎ

 

2つ目は、空パレットを高く積み上げすぎてしまい、崩壊したことで被災者にパレットが直撃し死亡した事故です。

こちらも厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」を参考にすると、事故発生当時の状況は下記になります。

この災害は、A社の倉庫内で、休日出勤した被災者が、フォークリフトを使用してパレットを積み重ねていたところ、高く積み重ね過ぎたため上部パレットが崩壊し、被災者を直撃したものである。

この倉庫で被災者は、同僚と二人で、A社の主要取引先であるB社の製品を、B社からの指示により、フォークリフトを用いて入庫および出庫の作業を担当していた。

災害発生時被災者は、フォークリフトを用いて60枚のパレット(パレット1枚の大きさ:幅1.4m、奥行き1.1m、厚さ0.13m、重量約22kg、木製)を整理し、30枚づつ二回に分けて倉庫内の奥まったコーナー部の床に、60枚(高さ7.8m)に積み重ねようとしていた。

二回目の30枚を1回目に積み重ねた30枚の上に載せ、フォークを引き抜こうとした時、積み重ねたパレットのはいに何らかの衝撃が加わり、はいが崩れた。そして、ヘッドガードを越えて落下したパレットが、逃げようとしてフォークリフトの運転席から離れた被災者に激突した。

発見された時の災害発生現場の状態は、フォークリフトの運転席手前でうつぶせに倒れた被災者の身体の上およびその周辺に、14枚のパレットが散乱していた。

こちらの事故が起きてしまった原因は、主にパレットの置き場所や重ね方が不適切であったこと、単独で不安全作業をしたことなどが挙げられます。

現場では作業標準が設けられていなかったり、休日出勤なども従業員任せだったりしたため、安全管理や教育が行き届いていなかったのです。

 

フォークリフトの事故を防ぐために行うべきこと

ここまでご紹介したフォークリフトのパレットに関連する事故は、予め対策をしておけば防げていたものであるかもしれません。だからこそ、本記事を読んでいる事業者は予め対策を行い、凄惨な事故を防ぐ必要があります。

  • 安全管理を徹底する
  • 安全教育を行う
  • テクノロジーの力で解決する

今からできる3つの対策を順番に解説します。

安全管理を徹底する

1つ目は、安全管理を徹底することです。

特に上述した2つ目の事例は、作業が作業者任せになっており、作業標準が設けられていませんでした。

これらを踏まえて、各事業者ごとに担当者の役割や責任者を設けることを徹底し、責任者の指示によって作業者が作業をするという体制を作ることが大切です。

また、可能であれば責任者と担当者が同席する形で作業計画を作成し、安全管理に努めることが重要になります。

安全教育を行う

2つ目は、安全教育を行うことです。

作業の標準化や作業計画を作ることを前提に、高所での作業が発生する場合には、事前に墜落防止策や安全帯の使用方法に関しての教育を行わなければなりません。

また、安全教育も一度のみならず、必ず複数回ないし定期的な実施を行うことが重要です。

特に新入社員や新しい担当者が入ってきた場合には必ず実施することを念頭に置き、作業者にリスクのない形で作業してもらうことを意識しましょう。

テクノロジーの力で解決する

3つ目は、テクノロジーの力で解決することです。

今回ご紹介した事例はフォークリフトのパレットに関連する事故ですが、フォークリフトの事故には他にも「追突事故」「巻き込まれ事故」など、多くの事故が発生しています。

現場で安全管理や教育を行うことは非常に重要ではあるものの、人の力に依存しないテクノロジーの力を活用することもご検討ください。

たとえば株式会社TCIでは、AIを搭載した全方位カメラと、ワイヤレスカメラで爪先などを確認するカメラの2つをご用意しております。

人身事故0を目指すには、フォークリフトの現場で特に発生しやすいヒューマンエラーを無くすことが鍵になります。

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