【前編】フォークリフトの危険行為とは?労働安全衛生規則をご紹介

フォークリフトには様々な危険が潜んでおり、どういった点に注意するかを予め知っておかなければ、人を巻き込む重大な事故に発展する恐れがあります。

こういった事故を防ぐために、労働安全衛生規則では、フォークリフトで危険行為に該当する行為や、これらを防ぐための対策が用意されています。

全26項目あり、すべてを1ページでご紹介すると非常に長くなってしまうため、前編後編という形で2ページに分けて解説します。

なお、労働安全衛生規則の中でも、フォークリフトに関する条文は「第二編 第一章の二 荷役運搬機械等151条」に記されています。

第151条の3(作業計画)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業(不整地運搬車又は貨物自動車を用いて行う道路上の走行の作業を除く。以下第百五十一条の七までにおいて同じ。)を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。」

「2  前項の作業計画は、当該車両系荷役運搬機械等の運行経路及び当該車両系荷役運搬機械等による作業の方法が示されているものでなければならない。」

「3  事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項の規定により示される事項について関係労働者に周知させなければならない。」

つまり、フォークリフトの作業を行う際には、地形等を考慮した作業計画を、予め作成するべきということです。

第151条の4(作業指揮者)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に前条第一項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。」

フォークリフトの作業を行う際には、安全を管理する「指揮者」を定めて、指揮者の指示に則って作業を進める必要性が説かれています。

第151条の5(制限速度)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等(最高速度が毎時十キロメートル以下のものを除く。)を用いて作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の地形、地盤の状態等に応じた車両系荷役運搬機械等の適正な制限速度を定め、それにより作業を行わなければならない。」

「2  前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の制限速度を超えて車両系荷役運搬機械等を運転してはならない。」

作業速度は、車両系荷役運搬機械等の適正速度を見極めて定めるべきとされています。

第151条の6(転落等の防止)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系荷役運搬機械等の運行経路について必要な幅員を保持すること、地盤の不同沈下を防止すること、路肩の崩壊を防止すること等必要な措置を講じなければならない。」

「2  事業者は、路肩、傾斜地等で車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行う場合において、当該車両系荷役運搬機械等の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させなければならない。」

「3 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の誘導者が行う誘導に従わなければならない。」

フォークリフトの作業を行う際には、転落を防止するために地形等を考慮する必要があるとされています。また、同様に誘導者や指揮者の指示に則って作業を進めることも大切です。

第151条の7(接触の防止)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでない。」

「2  前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項ただし書の誘導者が行う誘導に従わなければならない。」

こちらは、運転手及び作業者との接触を防止するための条文になります。

第151条の8(合図)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならない。」

「2  前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項の合図に従わなければならない。」

先ほどご紹介した誘導者(指揮者)と作業者は、予め「どのような合図を行うか」を定める必要があるとされています。また、ここで決めた合図は安全作業マニュアルの中にも組み込むことが大切です。

第151条の9(立入禁止)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等(構造上、フオーク、シヨベル、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。)については、そのフォーク、シヨベル、アーム等又はこれらにより支持されている荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、修理、点検等の作業を行う場合において、フオーク、シヨベル、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロツク等を使用させるときは、この限りでない。」

「2  前項ただし書の作業を行う労働者は、同項ただし書の安全支柱、安全ブロツク等を使用しなければならない。」

運転者と作業者の安全を守るため、フォークや積荷の下に入ってはいけないことが記されています。なお、ときにはフォークリフトの点検等を行う必要があるかと思います。

その場合は「フォークの落下を安全ブロック等の設置によって防いでいる」ことが条件です。

第151条の10(荷の積載)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等に荷を積載するときは、次に定めるところによらなければならない。

一  偏荷重が生じないように積載すること。

二  不整地運搬車、構内運搬車又は貨物自動車にあっては、荷崩れ又は荷の落下による労働者の危険を防止するため、荷にロープ又はシートを掛ける等必要な措置を講ずること。」

フォークリフトでは「横転事故」も多いため、ここに記されている通り偏荷重が生じないように対策を講じることが大切です。

第151条の11(運転位置から離れる場合の措置)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。

一  フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置くこと。

二  原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。」

「2  前項の運転者は、車両系荷役運搬機械等の運転位置から離れるときは、同項各号に掲げる措置を講じなければならない。」

フォークリフトから離れる際には「ブレーキを確実にかける」「逸走を防止する措置を講じる」といったことが明記されています。

第151条の12(車両系荷役運搬機械等の移送)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等を移送するため自走又はけん引により貨物自動車に積卸しを行う場合において、道板、盛土等を使用するときは、当該車両系荷役運搬機械等の転倒、転落等による危険を防止するため、次に定めるところによらなければならない。

一  積卸しは、平たんで堅固な場所において行うこと。

二  道板を使用するときは、十分な長さ、幅及び強度を有する道板を用い、適当なこう配で確実に取り付けること。

三  盛土、仮設台等を使用するときは、十分な幅及び強度並びに適当なこう配を確保すること。

ここでも、転倒防止策を講じる必要性について明記されています。フォークリフトが転倒する事故も非常に多いため、必ず行うべき対策と言えます。

第151条の13(搭乗の制限)

「事業者は、車両系荷役運搬機械等(不整地運搬車及び貨物自動車を除く。)を用いて作業を行うときは、乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない。ただし、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。」

フォークリフトでは、落下防止のための人員を除き、運転席以外に人を乗せてはいけないことが明記されています。なお、落下防止のための人員を配置する際に関しても、フォークリフトの偏荷重が崩れないように配慮することが必要です。

 

  • URLをコピーしました!