【安全装置】デイサービス送迎車両での置き去り事故について
今年9月、静岡県にある幼稚園の送迎バスで、園児の置き去り事件がありました。
残念なことに、このような事件は繰り返されています。
車内に閉じ込められてしまう置き去り事件については、幼稚園や保育園だけでなく、
デイサービスでも同様な事例が起きています。
今回は、実際の事例をもとに、置き去りを防止するための装置について紹介します。
目次
兵庫県のデイサービス送迎車で置き去り
2022年7月に、高齢者の置き去り事件が起こりました。兵庫県高砂市内のデイサービス事業所にて、夕方から翌朝にかけて90歳の女性が送迎車両に閉じ込められました。
運転手は、自宅まで送り届けたと「思い込み」をして、車を施錠してしまったことが原因とされています。
発見された当時、女性は脱水症状になっていましたが、その後回復したとのことでした。
当時の閉じ込められていた時間帯の最高気温は30.5度の晴れだったことから、車内温度もかなり上昇していたことが予想できます。
置き去り事件当時の状況
被害者の女性は、事業所でサービスを受けた後、他の利用者と送迎用のワゴン車に乗りました。
本来であれば、自宅まで送られるはずでした。
運転手は、3列目窓側に座っていた女性に気づかず、そのまま施設に戻り、車を施錠してしまったとの事です。
家族は、女性が帰ってこないことを不審に思い、高砂署に相談していましたが、電話で問い合わせを受けた運転手は、「自宅に送り届けた」と答えていました。
翌朝、運転手が出勤した際、車内に座っている女性を発見し、すぐに救急搬送され、無事一命をとりとめました。
その後、施設側は、女性のご家族に謝罪し、確認を徹底するマニュアルを作り対策をしているとのことです。
千葉県のデイサービスでも
平成22年7月、デイサービスの置き去り死亡事故が千葉県木更津市内で発生しました。
自宅から、施設への送り届けた後、利用者を送迎車から降ろし忘れたという事件です。
当事例でも、被害者の81歳の女性はミニバンの3列目のシートに座っていたとのことで、運転席からは確認がしづらい位置でした。
送迎車は午前9時頃、施設に到着してすぐに施錠され、再度開錠されたのは、午後5時半だったとのことです。
その日の気温は34.6度、約8時間もの間、女性は炎天下の車内の中で閉じ込められていました。
発見されたときにはすでに熱中症で死亡していたとの事で、警察では業務上過失致死の疑いで運転手を事情聴取したとのことです。
このように、状況によっては「確認忘れ」「見落とし」が、ひとりの命を奪ってしまうのです。
単純なミスでは済まされません。
デイサービス置き去り事故の原因と対策
前述した2つの事例は、ともに運転手の確認忘れ、見落としが置き去り事故の主な原因となっています。
事故が起きた車両はワゴン車やミニバンで、バスなどと比べると、比較的小さく座席数も多くありません。
にもかかわらず、置き去りが発生してしまうのは、なぜでしょうか?
根本的な原因には、「人間が確認をおこなう」という部分にあります。
人間は「慣れ」「慢心」「焦り」などからヒューマンエラーを起こす
機械のように、一つもミスをせず、完璧な人間はいません。
人は誰しもが、様々な影響を受けて、ミスを起こしてしまいます。
特に、置き去り事故の要因となり得るヒューマンエラーは「慣れ」「慢心」「焦り」から起こすと言われています。
日々の業務で行う確認作業は、毎日同じ確認を繰り返すことで、単純作業化してしまいます。
「今日も車内に人はいない」という確認を毎日行うと、いずれ「今日も車内に人はいないだろう」という予想が生まれてきてしまうのです。
この「~だろう」という予想で、確認作業を疎かにしてしまったり、確認作業を飛ばしてしまったりすると、
いつしか確認作業そのものを忘れてしまうこともあり得ます。
また、人は普段と異なるイレギュラーが起きると、集中する先が異動してしまいます。
普段は丁寧に確認作業を行っていても、なんらかの緊急性があるトラブルが発生してしまうと、普段行っている業務の優先順位が大きく変わってしまうのです。
結果、優先順位が変わるだけでなく、後回しにした作業そのものを忘れてしまうこともあり得ます。
「人間のみで確認作業をおこなう」ことには、これらのようなリスクがつきまとうのです。
人間の足りない部分をカバーするテクノロジー
前述したように、人間だけではどうしてもヒューマンエラーのリスクが避けられません。
昔から、人はこのようなヒューマンエラーを防ぐために、テクノロジーを活用してきました。
例えば、人間の目視だけでは交通事故が起きてしまうので、信号機が交通網を整備しています。
このようにテクノロジーは、人間の命を守るためにも、様々なところで利用されています。
車両の置き去り事故も、目視だけでは事故が起きてしまい、ひとりの命が奪われてしまうことが、これまでの事例から明らかでしょう。
同じように、テクノロジーの活用によって、事故を削減することが必要です。
デイサービス送迎車の置き去り事故を防止する装置
これまでお話しした通り、人はヒューマンエラーを起こし、確認を怠る、疎かにする、忘れることで、命は奪われてしまいます。
そして、このヒューマンエラーを補填すべく、様々なテクノロジーが活用されているという事実があります。
今回は、デイサービス送迎車での置き去り事故を防止する装置「園バス置き去り防止車内確認ブザー(SOS-0006)」についてご紹介します。
SOS-0006とは?
SOS-0006とは、送迎車において、置き去り事故対策をサポートする装置です。
車両のエンジン停止と連動して、車内後方への移動を促す音声ガイダンスが流れます。
音声ガイダンスを停止するためのボタンを、車両最後尾に設置することで、半強制的に車両の後方への移動を促します。
この音声ガイダンスは、エンジン停止から5分間流れ続け、5分以内に、車両最後尾の確認ボタンを押さなければ、
大音量のブザーで車外に警告音を発します。
これは、車内確認を忘れ、車両を離れてしまった運転手などに「確認忘れ」を知らせる効果と、
取り残されている人がいる可能性があるという危険性を周囲の人々に知らせる効果があります。
万が一に備えた工夫
SOS-0006は、万が一車内に閉じ込められた際に、存在を周囲に知らせる手段として、「非常用ボタン」を搭載しています。
もし車内に閉じ込められてしまった際、外部に伝達する手段がなかった場合、特に有効です。
車内の「非常用ボタン」を押すだけで、強制的に大音量のブザーを鳴らすといった仕組みです。
これは、いたずらや誤動作で押してしまわないように、エンジン停止時のみに作動するといった工夫も施されています。
置き去り防止装置でヒューマンエラーを削減
今回は、デイサービス送迎車における、置き去り事故の事例とともに、その対策装置についてご紹介しました。
繰り返される事故を削減し、大切な命を守るべく、装置の導入をぜひご検討ください。
2023年2月、内閣府「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト」に掲載。
品番:SOS-0006
認定番号:A-007
製造メーカー:株式会社TCI
装置の方式:降車時確認式
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